*゚春輝side*゚


帰り道。


前を歩く湊と如月は盛り上がっているらしく、時折笑い声が聞こえた。


俺の隣には…並木。


並木はちっちゃくて、のぞきこまないと顔が見えない。


ずっと黙ってるけど、俺の隣…嫌なのか?


「…ぁあ、相川くんっ!」


突然、並木が俺の名前を呼んだ。


「ん?」


「きゃ、今日、とっても楽しかったね!」


並木が、顔を真っ赤にして俺の顔を見つめる。


その姿に、思わずうろたえてしまった。


「…え、っああ、そうだな」


ふっと、一瞬悲しい顔をしてから、また笑顔になった並木は、突然走り出した。


「並木…!?」


「…あそこの信号まで競争!!」


「え、おい!?」


湊たちを追い抜かして走っていく並木の後ろ姿を見ながら、思わず笑ってしまった。


ほんとに、忙しいやつ。


「…俺が勝つに決まってるだろー!」


仕方ないから付き合ってやるか…