「…湊」
私、こそっと湊の隣へいって、耳打ちした。
「なに?」
怪訝そうな顔をこちらに向ける湊。
「相川くんってお祭りとか、好きなの?」
「…知らねーよ。でも、楽しんでるんじゃねーの?」
めんどくさそうに答えてくれた湊の髪を、くしゃくしゃっと撫でて、
「ほんと!?ありがとう!」
ってお礼を言った。
「…結衣」
「なに??」
「なんでも、ねぇよ。」
…変な湊。
バカ!とか、アホ!とか、いつもならはっきりいうのに。
心なしか顔も赤い気がして、心配になってきた。
「湊どしたの?大丈夫?」
熱は…ないみたい。
湊のおでこは、むしろヒンヤリと冷たい。
「…なっ。ゆ、結衣、やめろ!」
湊はぷいっと後ろを向いて、相川くんの方へ走っていってしまった。
小学校のころは、よくやってたのにな…
あんなに怒らなくても…

