うつむき、黙っていると、大樹さんの顔が曇った。
「あ、嫌ならまだいいんだ。あ……そうか、ごめん。」
「……す。」
「ごめんな。リエ。
待たなくても……」
「違うっ」
私は顔をあげ、大樹さんをきっとにらむ。
「しゃ、しゃべっらら…泣いちゃいそうれ…えと……。」
どうしよう。
ちゃんとしゃべれない。
大樹さんの困った顔が目に入る。
「う、嬉しいんれふっ
うぐっ。」
鼻をずびずび吸いながら、私はようやくそう言った。
「別れてって、言われるがど、おもっだのっ」
大樹さんの手が私のおでこの上で優しく動く。
「ばか……俺の気持ちなめんなよ。」
「大樹さんだいずぎでず~。」
「ありがとう…。」
大樹さんはずっと、
私の大好きな笑顔で、私を見ていた。
そして、
彼の澄んだ瞳が涙の膜によってその輝きを増していたことに、
私は気づいていたけれど。
言えばきっと大樹さんは隠してしまうから。
気づかないふりをした。


