大分気持ちが落ち着いてきた。


スタッフの人たちも早く帰ってほしそうだ。


見渡せば、もういるのは私たち二人だけ。



「いける?」



頷くと、吉澤くんも頷く。


彼は無言で歩き出し、私も後に続いた。


今度も無言。


でもどうしてか、今回は悪くなかった。





「映画、吉澤くんはどうだった?」


「悪くないんじゃない?思ったより面白かった。大分ベタな展開だったけど」


「それがいいの!何でも王道が一番なんだから」


「ふーん。俺は、少しくらい捻ったやつの方が好きだな」



いつもの私たちに戻っていた。


さっきまでの気まずさはどこへやら。


うん、よかった。