彼は私が落ち着くまで、静かに待ってくれた。


その辺りは本当に優しい。


というか、空気を読むのが上手いんだと思う。



「水瀬って、映画は一人で観るタイプ?」



一人考えていると、吉澤くんからの意外な質問。



「というか、あんまり観ないタイプ」


「へー」



少し意外そうな顔をした。



「映画より本を読む方が好き。その方が、自分のペースを崩さなくて済むから」


「ふーん。水瀬らしい解答」



でしょ?と言いながら立ち上がる。