ドライアイス

少しむっとした顔になってしまったかもしれない。


吉澤くんは笑った。




「別に悪い意味じゃねぇよ。反ってその楽しさが伝わってくるようでいい。うん、楽しいよ」


「まだ映画館にさえ着いていないのに、もう楽しいの?」


「あぁ。お前を見てるだけで、楽しいよ」




そんなことを面と向かって言われるなんて。


吉澤くんも見えないだけで、テンションが上がってるのかも。



「顔、赤いぜ」


「え、嘘」


「もう本っ当に真っ赤。トマトかってくらい」


「嘘!?」


「うん、それは嘘。そこまで真っ赤じゃあない」


「…」