「だから俺がいるんだよ」



祐子の席に座っていた皆川くんが、雑誌を見ながら吉澤くんにそう言う。


これ女性誌なんだけど、そんなにまじまじと見て、男の子でも楽しめるのだろうか。



「"だから"の意味がわからないんだけど」


「一人じゃ寂しいじゃん」


「俺が来るだろ」


「まあ細かいことは気にしなさんな」



何を言っても無駄だと感じたのか、大きく溜め息をついてパンにかじりついた。


またパンなんだ。


たまにはご飯ものの方がいいと思うけど。



「雑誌もいいが、食べるか読むかどっちかにしろよ。行儀悪い」


「春人、オカンみたい」


「正論だろ。借り物なら特に」



確かに。