「お洒落なんだね、お兄さんって」


「お洒落なの、これ。ただ派手なだけだろ」



お喋りしながらも、自然に私たちは歩き始めた。


目指すは待ち望んだケーキ屋だ。


すごく楽しみ。



「でも俺もすごく意外」


「ん、何が?」



ケーキのことに意識を飛ばしていると、吉澤くんの言葉に戻される。



「髪、上げたりするんだな。それだけで全然印象変わる」


「あー、これね」



暑かったから上げただけだよ。


そう言うと、お前らしいと笑って言われた。


それは正直…どうなんだろ。



「だから気づかなかったんだよな。いつもなら真っ先に気づくのに」


「そんなに雰囲気違うんだ」


「ああ。まあ、私服だしな」