ゴールまで、残り20mほどになった。
もう足は限界に近いが、負けたくない一心で最後の力を振り絞り、1歩踏み出す。
ゴールラインを越えたが、キツいと思う前に電光掲示板を見る。書いてある文字はまだ『測定中』。酸欠と緊張で、心臓がドキドキして落ち着かない。
気がつくと、周りの観衆までさっきの応援とは比べ物にならないほど静かになっている。
(やめて~。こんな静かだと余計に緊張しちゃうよ…。)
実際には少しの時間だっただろうが、この時間が5分以上にも感じられた。
すると、ようやく電光掲示板に今までと違う文字が表示され、アナウンスがかかった。
「…ただいまの1着の時間10,75。第6レーン。白崎の橋本さん。これは、大会新記録です。おめでとうございます。」
アナウンスと共に、客席から歓声が湧き上がる。電光掲示板の自分の名前の隣に表示された10,75の数字が徐々ににじんでいく。
涙がこみ上げてくるのを堪えようと、空を見上げ、目を閉じる。目をゆっくりと開けると、そこには今までと何も変わらずに競技場を照らしていた。堪えきれなくなった涙が頬を伝って流れていく。
「浅榎…約束、ちゃんと果たしたけんね…。…本当に、良かった……。」
涙を拭っていると、目の前にスッと手が差し出された。顔をあげると、そこにはさっきまで一緒に競っていた宮野さんがいた。
「大会新おめでとう。もう、あんま速かっちゃもん。びっくりしたばい。すごかったよ。」
そう言う宮野さんの声は少し震えていて、目も少し赤かった。
悔しいはずなのに…。それでも自分をたたえてくれることがとても嬉しかった。
私は差し出された手を握って、素直に
「ありがとう。宮野さんもすごかったばい。」
と伝えた。
「ふふっ。急に上からやね。」
「そっ…そんなつもりじゃなかったっちゃけど…。」
「まぁ…次は勝つけん。うちが勝ったら上から目線したこと土下座けんね?」
「え!?ガチ?」
「ガチ。」
「…いいよ?次も勝てばいいっちゃけん。余裕余裕!」
「あれ?もしかして橋本さんって、うちより性格悪かった感じ?」
…そんな会話を2人でしながら、私達は太陽がサンサンと照らし続ける競技場をあとにした。
もう足は限界に近いが、負けたくない一心で最後の力を振り絞り、1歩踏み出す。
ゴールラインを越えたが、キツいと思う前に電光掲示板を見る。書いてある文字はまだ『測定中』。酸欠と緊張で、心臓がドキドキして落ち着かない。
気がつくと、周りの観衆までさっきの応援とは比べ物にならないほど静かになっている。
(やめて~。こんな静かだと余計に緊張しちゃうよ…。)
実際には少しの時間だっただろうが、この時間が5分以上にも感じられた。
すると、ようやく電光掲示板に今までと違う文字が表示され、アナウンスがかかった。
「…ただいまの1着の時間10,75。第6レーン。白崎の橋本さん。これは、大会新記録です。おめでとうございます。」
アナウンスと共に、客席から歓声が湧き上がる。電光掲示板の自分の名前の隣に表示された10,75の数字が徐々ににじんでいく。
涙がこみ上げてくるのを堪えようと、空を見上げ、目を閉じる。目をゆっくりと開けると、そこには今までと何も変わらずに競技場を照らしていた。堪えきれなくなった涙が頬を伝って流れていく。
「浅榎…約束、ちゃんと果たしたけんね…。…本当に、良かった……。」
涙を拭っていると、目の前にスッと手が差し出された。顔をあげると、そこにはさっきまで一緒に競っていた宮野さんがいた。
「大会新おめでとう。もう、あんま速かっちゃもん。びっくりしたばい。すごかったよ。」
そう言う宮野さんの声は少し震えていて、目も少し赤かった。
悔しいはずなのに…。それでも自分をたたえてくれることがとても嬉しかった。
私は差し出された手を握って、素直に
「ありがとう。宮野さんもすごかったばい。」
と伝えた。
「ふふっ。急に上からやね。」
「そっ…そんなつもりじゃなかったっちゃけど…。」
「まぁ…次は勝つけん。うちが勝ったら上から目線したこと土下座けんね?」
「え!?ガチ?」
「ガチ。」
「…いいよ?次も勝てばいいっちゃけん。余裕余裕!」
「あれ?もしかして橋本さんって、うちより性格悪かった感じ?」
…そんな会話を2人でしながら、私達は太陽がサンサンと照らし続ける競技場をあとにした。
