顔を背けたまま答えられずにいると、彼は私に身を寄せ耳たぶにキスを落とす…。
首筋にゾクゾクとした物を感じると、ビクンッと身体が振るえ、その勢いで彼の方に顔を向けると、私の小さな鼻と彼の高い鼻が触れ合った。
ドキドキと早鐘を打つ鼓動が苦しくなって、逃げ出したい衝動を感じているくせに…
…でも、逃がして欲しくなくて。
幾ら人が来ないからといって、会社でこんな事をするだなんてダメだって分かっているくせに…
…やめて欲しくない。
相反する気持ちを感じて瞳を揺らめかせていると、彼は優しく微笑みながら、私の頬にその温かな手でそっと触れた。
「キミの瞳は、素直なんだけどな。
…分かった。両方とも叶えてあげる。」
「えっ?私、何も言ってな…」
私が反論を口にしていると、彼はポケットからハンカチを取り出し、それを目の前でヒラヒラとさせた後、私にチュッと触れるだけのキスをした。

