いや俺が悪い以外に何があるのだ。朱里さんに振られるのが怖くて連絡すらできていないのに。
「やっぱそうなんだ……」
「え?」
「仲直りできそう?」
「あー……どうだろう」
「深刻な感じ?」
「別に……」
相沢が困った顔をしている。俺が気まずい雰囲気にしてしまって申し訳なくなる。
「出よっか」
相沢はそう言ってコートを着ると伝票を持って立ち上がった。会計を済ませて店を出る。
「もうすぐ終電なくなるけど大丈夫? 中山くん電車だよね?」
「まあ一駅だから最悪歩いて帰れるし」
「近くていいねー……」
暗い声を出す相沢を不思議に思って顔を見る。すると相沢は駅に向かう通路で立ち止まった。
「私のせいでごめんね」
「え? 何?」
「本当に、中山くんと彼女さんには酷いことした……」
「どういうこと? 特に何かされた覚えもないんだけど」
「私……中山くんの彼女さんが浮気してるって匂わせるようなことを言った」
「ああ」
あんまり触れたくない話題だ。嫌でも朱里さんに酷い態度を取ったことを思い出してしまう。
「二人に悪かったと思ってる……」
「いいって。俺と朱里さんの問題だから」
「それでも、ごめんなさい」
「マジで、相沢のせいじゃないから」
きっかけは相沢だとしても俺が悪い。朱里さんを信用していないって言ったようなものだ。
「俺さ、元カノに浮気されてたんだよね」
「え?」
「しかも相手は俺の仲良かった先輩。キスしてるとこ見ちゃって」
今でもあの時見たことを鮮明に思い出せる。唇を離した直後の二人の表情まで全部。元カノはあの瞬間俺のことなんて綺麗に忘れていたに違いない。
「そのあと自然消滅」



