風がサラサラと私の頬を撫でて行く…




目の前には大きな木があり、
隣には猫を抱えた男の子…。




その男の子は、泣いていた。


『ごめん…ごめんね?』


と謝りながら…。






私はただその光景を眺めていた。



ふと、男の子が抱えている猫に
視線を下ろす。








「うわぁっ!?」






私は思わず叫んでしまった。





猫は、くたっとしていて
その顔はぐちゃぐちゃになっていたのだ。






男の子は私の方を見て




『?…今、もしかして、
 ミィーちゃん見て驚いたの?』




「…っ…。」



私は俯いた。
掛ける言葉が見付からなくてただ目を逸らしたかったんだ。





『なんで、なんで驚くの?』




そんな私に問い掛ける男の子。


その口調は徐々に早口になっていく。
私を責め立てる様に…。





『ミィーちゃんはミィーちゃんなんだよ!
 どんな、どんな姿になっても…
 僕のかわいいミィーちゃんなんだよ!!!』




最後の方は叫んでいた…。





猫を強く抱きしめながら。