「………迷う?」


「あんたが?」


「んー、」


「………」





思ってはいたが、この人笑わない。いや、正確には僕に笑わない



街の人には、オグニ様。とか言われていろんな物もらって、ニコニコしてたのに。


特に女の子の声が凄かったけど



この人はきっと、僕がスパイとかそんなんじゃないかって疑ってるんだろうな



子どもだが、子どもである



疑いの眼を向けられにくい、無邪気だもの。僕はそうではないだろうけど





「あんた、本当は何処の国のもんっすか」




僕の行動を一つだって見逃さない。とでもいえるように、凝視してくるオグニ




どう答えようかと迷っていた時、何処からか叫び声が聞こえた




「魔物だ!魔物が出たぞ!!」




と、いう男の人の声に、オグニがいち早く反応し、




「あんたはココにいるっす。動くんじゃないっすよ」




と、言い残して何処かへ去って行った




魔物、か。今の時代は、街の中にまで魔物が出るんだ



………やっぱり、今持つ僕の知識はあまり意味のないものが多いなぁ