冥王ー黒き龍と白き龍ー





「モルっ!!」


「?」




慌てて僕に駆け寄るサーシャに、僕は首を傾げるだけ




「お前っ、背中見せろ!」


「……あ」





存在忘れてた



彼女の手が僕の肩に置かれている



きっと、今の彼女の顔は……酷く歪んでいることだろう。



そりゃ、そーだ。こんな子どもの背中に




まさか




傷痕なんてあると思わないだろう






短いのと長いの、クロスになっている傷痕の上には黒丸模様の中に描かれている奇妙な模様





「………コレ、は?」


「……」




知らない、とでも惚けるため首を横に振る


そして、浴槽へとサーシャを引っ張っていく





赤ん坊から始まっても、僕の体には一生刻まれるこの傷と模様




もう、だいぶ経つからスッカリ存在を忘れていたや