冥王ー黒き龍と白き龍ー






「この子を風呂に入れてやってほしいんだよ」


「風呂?それなら、自分がやるっすよ?」


「あぁ、わかったわ。子どもといえど女の子みたいだし、」


「女の子!?」




………オルフェと同じ反応だな。そんなに僕は男に見えるのか?



いや、この朱色の人はすぐにわかったから女にもちゃんと見えるんだろう



って、ことは。僕は女にも男にも見える顔ってことか、今回は。




………まぁ、後々便利っちゃあ便利だな




「君、名前は?」


「モルテア」


「モルテア……モルね、私はサーシャよ」




サーシャ。ね



サーシャは僕の手を取って、この部屋から出る



そして、そこからしばらく廊下を進み続けた結果


着いた先は豪華な……浴室




石だ、石でできてる!!


木じゃないんだ、白い石だ



すげぇ





「どうかした?」


「……いし、いしっ」


「いし?………あぁ、この浴槽の事ね」





見た事のないものにテンションが上がる僕を、笑いながらサーシャが眺めていた



ただその笑みは、消える事になる






それは、服を着替えていた時の事





「モル、それ脱いだら籠の中にポイッて。わかる?」




それぐらいわかります。が、僕の今の姿は子どもも同然



とりあえず、頷いて床に置かれた籠に服を入れる



隣でサーシャも服を脱いでいたから、彼女もついでに入るんだろう。



チラリっと見てみれば、彼女の体にはいくつか傷痕があった




きっと、サーシャは戦う事もしているんだろうな。と勝手に思いながら浴槽へと足を運ぶ



そんな時だ