女神の落としモノ




「貴様、何をした!!」


バルイットさんの怒りが、私へと向く。
それから守るようにシドが剣を構え、私を背に庇った。


「お前には過ぎたオモチャだろ。俺が盗んでやるよ」


盗むって…………
あ、シドの目的って、バルイットさんの宝剣!?


「父さん!!やめてください!!るなを傷つけないで下さい!!」


ベルはバルイットさんから宝剣を奪おうとする。
それを、バルイットさんは勢い良く振り払った。


「くっ!!」


ーダンッ!!


ベルの体が壁に打ち付けられる。


「ベル!!」


私はベルに駆け寄り、そっと体を支えた。
そんな私に、ベルは悲しげに笑う。


「すまない……るなを…巻き込んで……」

「そんなっ……」


そんな、傷だらけで笑わないでよ………
本当は、すごく悲しいはずなのに!!

ベルは悪くないのに………


「ただ………家族になりたかっただけ………」



涙で視界が滲む。
絶対に流さまいと、目に力を入れた。


「ただ、一緒にご飯食べたり、遊びに行ったり…同じ時間、場所を共有できたらって、それすらもあなたにとってはどうでも良いこと?」


立ち上がり、私はバルイットさんへと歩み寄る。


「く、来るなぁ!!」


ーブンッ!!ブンッ!!


剣を振り回すバルイットさんに、不思議と恐怖は感じなかった。私は酷く冷静だった。


そうか、怒りが頂点になると、人って逆に頭が冴えるのかも。私、今すごく怒ってるし………



「やめろ、下がれ!」

シドが私の腕を引く。


「私の気がすまないの!」

「おい!」


驚きで手を緩めたシドから離れ、真っ直ぐにバルイットさんの元へと向かう。