女神の落としモノ



「いいや、私はまだだよ。決められた婚約者はいるけどね」

「そっかぁー……それって、ベルの好きな人なの?」



なんだか、私には考えられない世界だなぁ……


決められた婚約者って、ベルの想いも無視して決められちゃってたら、それってすごく悲しい。


結婚って、恋をして、好きが愛に変わった時、ずっとこの人と生きていくって確信できて初めてするものでありたいって思うから……




「いや、祭事で何回か会ったくらいで、良く知らないよ。それに、領主を継承するまでは、結婚は許されていないんだ。父は早くに祖父が亡くなった関係で早くに継承したから早かっただけで、私はまだ父が政務を担ってるからね」


「ベル、ベルがしたい事をちゃんと伝えるべきだよ!この領地の人を幸せにしたいなら、まずは自分が幸せにならなきゃ!」



人は、幸せでなければ誰かを思いやれない。
その余裕がなくなっちゃうから……

思いやる気持ちを忘れてしまうから………


「もうすぐダンスが始まる。本当なら、るなと踊りたい所だけど、そろそろ行こうか」


「うん!二人なら大丈夫、きっとうまくいくから!」


ベルの手を引き、お父さんの所へと向かう。
震えるベルの手を勇気づけるように強く握った。