ーゴーン、ゴーン


教会の鐘が鳴り、学校の終わりを告げる。
私達は一斉に教科書を片付けた。



「あぁ~疲れた!美咲、帰りに何か食べてかない?」


私、伊藤 るなは親友の宮城 美咲(みやしろ みさき)に声をかける。


「るなちゃん、また食べ歩きをするの?この格好で先生に見つかったりでもしたら……」


そう、ここは聖ルシェル学園。
礼節、品行を持ち、才能豊かな乙女の聖域。


「お嬢様学校の面倒くさい規則ね」


そう、聖ルシェル学園はお嬢様学校で、お辞儀の仕方、言葉遣いまでを教育するのだ。


まぁ、私はお嬢様でも、なんでも無いけど!


お嬢様のようにお金のある人や権力のある家柄の他、この学校は才能のある人間が入学する事が出来る。


お金持ちでもなんでもないただの平民の私は、幸いな事に歌が得意で、ここの朝の祈りの時間も、ソロで讃美歌を歌わせてもらっている。


「美咲は怖がりだなぁ!大丈夫だって!絶対バレな……」

「伊藤さん?何が絶対にバレないんですか?」

「ん?食べ歩きの事に決まって………ひっ!シスター!?」



そこには、仁王立ちして鬼の形相をするシスター恵麻がいた。ここでは、先生をシスターと呼んでいる。


「なんですか、ひっ!とは。まったく、才能に恵まれていても、礼節、品行には恵まれませんでしたのね、あなたは」


「あはは………」


もう、この学校、私には合ってないよ!
普通の学校なら、もっと学生らしい事出来たと思うんだよね。