『さむ…せめて、ベッドまで運んで欲しかったなあ』






昨日の事を黙々と想い出す。

そして記憶をたどる中で、ひとつ気がかりなことがあった。






安達紗羽は、なんで私と圭斗が付き合っていることを知っている?

そして、なんでこの私の家を知ってる…?







まさか、と流して、私はそのままベッドへ向かった。



















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ボーッとする頭の中。


ボヤッとする聴覚の中で、複数の男女が話しているのが聞こえる。







「このトップスは中国にお願いしました。デザインや素材はまだ送ってなくて、依頼だけしといたんで」


「じゃあ、今日は、その素材とカラー、デザインを考えればいいってことか?」


「そうです」


「その素材とかを送るのはいつまで?」


「3週間後です」


「あ~。キツイな。よし、一気に決めちゃおう。このブランドのコンセプトはなんだったっけ?それをもとに…」


「って、圭斗さん、あの、聞いてます?」





「え!あ!はい!聞いてますよ」

急に呼ばれた自分の名前に、異常に反応を示す。
自然にそうなっただけだけど。



今は、スタッフとその関係者と、あることについて話し合っていた。









俺は、ここ最近で仕事のオファーが止まり知らずで来るようになった。

最近では、映画の主演3本、CM9本、雑誌の表紙、見開き3ページなど。


これでもスケジュール上断った方。








そしてこの波にのって、俺プロデュースのブランドを立ち上げることになった。






今日は、そのブランドの商品の一部の会議。















ブランド名は、゛Kyukukkna.s゛。

ブランド名も、俺が付けた。






ブランド名の由来も、結構こだわりがあってね。

俺達人間の周りには、必ず「K」がとり憑くんだ。


例えば…



゛k゛urusii  苦しい
゛K゛anasii  悲しい
゛K゛owai   怖い




とか、マイナスなこと。

それを少しでも無くしたい、って気持ち。



まぁ、後々わかるよ。





完全に俺が先頭でプロデュースしたブランド。

これをいち早く、優那に見せたかった。










俺のブランド名の意味を。

早く会って、抱きしめたい。


一昨日の夜の、紗羽さんの余韻を消してくれ、優那。


本当は……お前だけがいい。













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「ねね。大城」


「なんでしょう、紗羽さま」


「そこにあるコーラサワー、取って」


「こちらですか?」


「そうよ。ありがと。それより、昨日の小娘。なかなか面白かったわ。あんなに面白い子がこの世に居るのね」


「紗羽さま、それはどう意味で……」


「うるさい!んなの決まってんだろ!潰すんだよ!」


「も、申し訳ございません…」


「ふぅー。そうね…面白い子には、面白い掛かり方をしなきゃね、フフフ…」