『…』






「あら?どうした?あたしの秘密、知りたくないの?」


ニヤニヤしながら笑う、安達紗羽。
クス、と、安達紗羽の周りの黒スーツの男も笑う。






「あら…口も出ない?」

安達紗羽が私を見下して話す。
この人の裏顔は、卑怯で、険悪で、黒い。


















………安達紗羽の秘密を知れば、圭斗を救えるかもしれない。
圭斗が、圭斗のための一番いい方法で安達紗羽から離れることができるかもしれない。

そしたら圭斗は、自由になれる。



いつもいつも紗羽のことで怯えなくても、安心して生活できるかもしれない。







圭斗が幸せになるためなら………私って邪魔?

なら………早くその秘密を聞いて、圭斗から離れるべき?






















「どうするの?庶民のくせに2つともとるのは贅沢だからね?分かってる?」



『…私は………』








沈黙で包まれた雰囲気と、安達紗羽の笑み。

そして私の体から流れる、冷や汗。










『わ、わたしは………………………………………その秘密……





聞かないです』




「え?」

























『圭斗と別れるくらいなら、私、聞かないです。圭斗のためになら、早く離れるがタメかも知れないけど…私、、贅沢だから……………』


「ふーん」





安達紗羽は、一瞬驚いていたが、すぐに平然を装ってつまらなそうに空返事を返した。





「あんたって意外とつまんないのねー。いいわ、今日は帰してあげる」

そう言って、また口を薬品の匂いに覆われる。














































起きた頃には、自分の部屋の玄関にいた。