『ん…』


目が覚めたら、見慣れたピンクの天井。
そして私の好きな石鹸の匂い。


……自分の家か。


私、いつから寝てたんだろう?

会社を出てから、既に5時間も経っていた。






ムクッと、重い体を起こす。

…と。











「やっと起きたかよ」

ふてくされた顔をした圭斗が、私のベットの隣に居た。


『は!?なんで居んの!?』

「は?お前がぶっ倒れたからだろーが!」

『あ…』




そうだ、私倒れたんだ。

…それを、圭斗が……助けてくれて…






『あ、ありがと』

「珍しく素直じゃん?俺ちょっと熱っぽいから寝るわ」

意地悪そうに圭斗は言った。
゛寝るわ゛に対して、私は不安を覚える。

『え?帰るの?』




すると圭斗は、もともと上がっていた口角をさらに上げて話した。

「ここで寝るんだよ」


そういうと、私のベットにすっぽりと入り込んできた。











『は!?風邪伝染るでしょ!』

「もう伝染ってるし」

『最悪。私に伝染さないでよ?』

「は?んなこと言ってないで俺のためにお粥の1つでも作ってみろ」

『なんて態度』


私の隣で、目を閉じる圭斗。
睫毛は、相変わらず長かった。













コホコホと咳を立てる圭斗。




お粥、作ってあげようかな。








私は起き上がって、自分の腰に回された手を
ほどこうとする。

『ねえ、避けて』

「は?なんで」

『お粥つくるから』

「ふーん。作れんの?」

『お粥くらい作れるよ』

「んなこといーから隣にいろ」



そういって、圭斗は、腰に巻く手の力を更に強めて言った。




『…ねえ、苦しい』

「俺も」

『んじゃあ離してよ』

「やだ」

『なんで?』

「どっかに行っちゃいそうで」










…………………かわいい。


甘えモードだ。








更に咳を強める圭斗に、ポケットにあったのど飴をあげた。

あーんして、なんていうから、あーんしてあげたら。


本当においしそうに舐めていた。
















そして私のスイッチオン。


『なーんか私も喉痛くなってきたなー』

「もう一個ねえの?」

『ない。だから………』















そう言って、圭斗にキスをする。


「ん、」

いきなりの強引なキスに、さすがの圭斗も少しビックリしているようだった。









唇を離して…私は笑った。

目の前には、きょとんとする風邪ひきさん、圭斗。




そのままギューって抱きしめた。