『…』





………っと。



マジで付き合ってんのかな?







公衆の面前でこんな堂々ちゅーなんて…

本当に桜田圭斗はマスコミを恐れているのだろうか。










安達紗羽の口づけがホヤホヤ新鮮な状態で、桜田圭斗は私の乗るタクシーの方へ走ってくる。













乗り込むなり、運転手に告げる。


「台場の方まで」






すると運転手が続いて話した。


「リョーカイ。家行くのか?」




ご覧の通り慣れた声付きで。









私の混乱を無視し、タクシーの運転手と桜田圭斗は話す。




「おう。今日はつかれた」

「いつもより早いじゃん。しかも隣の子誰?」

「マスコミの奴らしい。紗羽さんとのことスクープしようとしてたらしくて」

「そーれは危険人物だな。こんな幼い顔して、すること怖いじゃん」

「だから、色んな意味で放って置けないんだよ」








『………』


わけわかんない。




ん?なんで?タクシーの運転手と桜田圭斗が馴れ馴れしく話してんの?









しかもこの運転手………よく見たらさっき私が乗ってきたタクシードライバーだし…



んー……










私は丁重に割り込み聞いた。


『あの…どういう関係なんですか?』





そうすると、タクシーの運転手は言った。

「あれれ?俺と圭斗の関係もスクープするつもり?」





ニヤニヤとこちらを見ながら言う運転手。

見るからには、桜田圭斗と同じくらいの歳…だ。










割り込んで桜田圭斗が話す。

「よせよ、和真(かずま)。俺もちょっと和真に同感しちゃったけど」




『そっ、そんなことしませんっ!』

ムキになって対抗する。





二人は、そのまま自分の視点に目線を戻した。






…無視かよ。











場紛らし?に、もう一度聞いてみた。

ちゃんと証明する言葉もつけて。







『どういう関係なんですか?録音機器とかカメラとか、ちゃんと桜田圭斗の前で置いてきましたから!教えてくださいよ』

「おいお前、俺のこと呼び捨てにした?今?」




私の声に反応した第一人目は、桜田圭斗。

自分のこと呼び捨てにされるのが嫌いらしい。






続けて反応する、和真だか言う人。

「圭斗怒らせると怖いよ~」









なかなか質問の答えが帰ってこなかったので、思い切って聞いてみる。








『なんでそんな教えてくんないの?怪しい!実はホモとか?!』



言い終わったあと、少しの息切れを覚えた。




…………沈黙。









ああ、逆効果だったかな…? 




その瞬間。


「「あははははははははは!」」







和真(?)と、桜田圭斗が一緒に笑い出した。

よしてくれよ、でも言うかの笑い声。










最初に話したのは、和真って人の方だった。


「いやいやいや、言うねえ。久々にこんなに笑った」



続けて話す、桜田圭斗。

「ん~まぁでも俺、男でもイケるぜ?和真」

「…」
  




   






急に男プレイ発言を予告されたその和真とかいう人は、少し唇を青くして私の質問に答えてくれた。



「ん~…と、とにかくね……俺と圭斗はそんなんじゃないから!ただのダチ」




…やっと答えてくれたわ。














和真だか言う人のその言葉を最後に、車内での会話が終わった。
 

台場の夜のタクシーからの景色なんて、知ってるようで初めてだったからなんだか新鮮。







ドアにもたれかかりながら、しばらく外の様子を眺めていた。



私達を乗せたタクシーは止まらない。














ポツポツと少し、雨が降り始めた。