しまった。 逃した。 少しの瞬きの瞬間に、ターゲット・桜田圭斗を見失ってしまったのだ。 『しまった……』 カメラを降ろし、ふうっとため息をつく。 どうしよう。 せっかくここまで来たのにな。 少しの希望を胸に、もう一度アパートの入り口にカメラを構えてみた。 その瞬間。 視界が黒く染まる。 目の前は真っ暗。 急に漂う柔軟剤の匂い。 後ろで感じる気配。 口に何かが当たる。 誰かの手。 口を誰かに覆われているので、リアクションをとる事も話すことも出来ない。 『…』 だ…だれ?