色々なところに管が繋がれてて、目は開いているのに意識は虚ろ。
細い腕の筋肉はピクピクして、痙攣しているようだった。



「…な……お…なの…」

「…酷ぇなこりゃ……香那、大丈夫か…?」


香の言葉が耳に入らない
そっと近付いて除き込んで見ても、瞳に光は無く、どこか一点を見つめてるみたいだった。


「………直っ…」


返事は無い
少しも動かない体にそっと触れる。

手が氷の様に冷たかった

「…直……わかる…?アタシだよ……香那だよ…」




ゆっくりと首をこちらに向けた
でも、やっぱり瞳は一点を見つめてて。


「…やっ………の…か…」


声が、掠れてて。

アタシの手を握り返す力も無い直は、虚ろにアタシの名前を呼んでいるように聞こえる。



「………や…………こに……」


するといきなりナースコールが響く。
どうして勝手に鳴るのかわからないけど、それどころじゃなくなって。


「…直っ…!!!ねぇ直どうしたの!?直……直ってばぁ!!!」

「落ち着け香那!!今看護婦さんが来るから!!直高は大丈夫だから…!!」


パニックになって涙が溢れ出す。
そして、先生や何人もの看護婦さん。
それに医療機器が入ってきた。


我慢していた涙は、とめど無く溢れて。