Closed~閉じてる彼ら~

院内から、人影。


あ、お姉さん。


「お姉さーん。こんにちは」

「こんにちは」


彼女はたおやかに微笑んだ。


「今日も、いらしてくださったんですね」

「はい。なんとなく」


看板を指す。


「看板、下ろしちゃうんですか?」


廃業?

胸に、ちくちく。


「はい。あの看板も古いもので…。換える必要が有るんです」

「換える」

「はい。今、《孤児院》という表記は誤りで、《児童養護施設》としなければならないそうで」

「はぁ」


ちょっと、安心。

あれ、なんで?