あたしは月が出ても、動かなかった。





「ねぇ、君、いくら?」


…あ?


「君、いくら?」


…知るか、カス…。


手を引かれる。


「とりあえず、どこか、入ろうか」


抵抗する力が湧かない。


あー。手ぇ痛い。

ってか、どーでもいいや…。





「ぶぉっ…」





手が楽になる。





「アホかっ!」





抱きかかえられた。




天城くんが、そこにいた。