橋田 空(16)

夢の中で誰だか分からない女の子が泣いていた。
背中には、真っ白な翼。
翼をばたつかせ、飛び散る羽。それのせいで良く顔が見えない…─。

暫くして…真っ白だった翼は、灰色に化して、黒になって全てなくなった。

そこで夢が終わった…。

…─
ピピピピピピ…ピピピピピピ…
春の心地良い暖かな風と煩い目覚ましで起きた俺。

「そっか…入学式か…」
軽く髪の毛を洗い、歯を磨き、真新しい制服を着、チャリをゆっくり漕ぎながら学校に向かった。

…─
学校に着くと、クラス表が飾られていて、そこに人だかり。

俺は…D組か。

軽く走りながら教室に向かった。

…にしても、女子がキャーキャー俺の事指差しながら騒いでいた…。
本当、あーゆーの迷惑…

教室に着き、席を探し、座った。

俺は、窓側の三列目。
風が直に当たって気持ち良い。

…─
入学式が始まり、教師紹介や、学校の主な行事や、校則の事など先に話をしていた。

『新入生代表、谷城 碧斐…壇上に上がりなさい。』
新入生代表の人が壇上に上がった時、周りがザワザワしはじめた。
隣の奴等が、
『やっぱり碧斐さんは美人だねー…』
『そうだね。』
『あたし、一回で良いから碧斐さんと話してみたいなー…。』
『同じクラスになれたら喋れるよ!…でも、同じクラスになれる人は良いなぁ』
と話しはじめた。
谷城 碧斐って奴は…そんなに良いのか?

俺は、一番後ろの列に並んでいるため、壇上が見えなかった。

『次に学校長の話─…』