何も言えなくなってる。
俺を好きでいて欲しいだなんて、すっごい勝手な要望を何でだろうか。


少しだけ喜んでいる私もいるんだ。


何て都合いい女なんだろうって思うけどさ。



麗さんの家に到着すると、門を開けて中へと車を入れて行く。
麗さんの家。……秋人の家でもあるけど。



それから、長い廊下を渡り麗さんの部屋へと通された。


うん、こっちは相変わらずザ・和室。



「適当に座って~。飲み物何かいる?」

「あ、何でも大丈夫です」

「言ったな?タバスコ入れるぞ?」

「紅茶があるならそれがいいです」

「はいはい~待ってなー」


そう言って、麗さんは荷物を置くと襖を開けて出て行った。



ぽつんと残された私は、ふっと壁にかけられたコルクボードに目が行く。
相変わらず、結城ばかり。


ピンだったり、一緒に写ってたり。


……本当、結城を好きなんだろうな。