赤信号で止まった時、麗さんはハンドルに乗せた腕に顎を置くとふいに口を開く。



「なあ、愛って秋人と付き合ってるの?」

「はへっ!?」


想像なんて一切してなかった質問で、すっごくあの、変な声出たんですけど。
ニイっと歯を見せて笑うと、麗さんは私を見た。



「私の情報網なめんな」

「……」



怖いですよ、色々な意味で。
だけど、まだ“別れた”って情報は回ってないんだ。


そっか。


「昨日別れました」

「はあっ!?何で?秋人が何かしたのか?
あいつシメておくぞ?」



何で、秋人の周りの人って全員秋人が悪いって思い込むの。
これは同情するぞ、秋人。



「いえ、秋人はすっごく優しかったですよ」

「……そっか」

「はい」



勿体ないぐらい優しかったし、ちゃんと彼氏してくれてた。


だから、秋人は悪くないよ。
ズルイ気持ちあったらしいし、今もないとは言い切れないけど。


でも。
好きになった方が、負けなんだよなあ。