秋人が来るなら凄く帰りたいけど、でもどうせ話をしなくちゃならない。
それなら早い方が確かにいいのかな。



それから私は秋人が戻って来るまでの間、ずっとそわそわしていた。


瞬は至って普通に漫画を読んでたけど。
多分、私の事なんか見えちゃいないよ。あの人。



どう話そうと何度も頭の中で整理するけど、うまくいかない。


心臓がさっきからドキドキとうるさい。
静かだから、私の心臓の音が瞬にも聞こえてるんじゃないかと焦るぐらい。



本当に静か。
だから、秋人が来た事なんてすぐにわかる。


遠くから微かに足音が聞こえた。
庭の砂利を踏む音。

それから、廊下を歩く音。


それは、遠慮がちでゆっくり、だけど確かにこっちに近付いて来る。


きっと、秋人も戸惑っている筈なんだ。



今は顔も見たくないかもなのに。


や、やっぱり帰った方がいい?



「しゅ、瞬?」

「……」



顔面蒼白で私は瞬を呼ぶ。
瞬は顔を上げると、ちらっとこっちに視線を寄越した。