「うん。もう平気」

「そう」


そう言うと、瞬は私から離れてベッドへと戻って行く。
ベッドに腰かけて壁に寄りかかると、さっき読んでいた漫画を開いた。


それに、呆気に取られた私。


本当に瞬は、ただ泣き止むのを待ってただけなんだ。
それ以上でも以下でもない。


「……ふふ」


思わず、笑みが零れると瞬は訝しげな顔でこっちを睨みつけた。


「……忙しいヤツ」


それから、ぼそっと呟くと漫画に視線を落とす。



はあ、なんか泣いてスッキリしちゃったな。
そういえば、秋人どこに行っちゃったんだろう。


戻って来ない。
結構経ったと思うんだけど。


携帯を取り出して時間を確認したら、秋人の家に到着して30分以上は経っていた。



私、家にいるべきじゃないよね?
帰ろうかな。


そう思い、私は帰る準備をした。



「……帰んの?」


私が立ち上がったのを見て、瞬がそう尋ねて来る。