「愛ちゃん」

「んー?」

「……」

「これ、美味しいよ。秋人も食べる?」


そう言いながら、私は食べかけのハンバーガーを秋人に差し出す。
その時に秋人の悲しそうな、悔しそうな顔が目に入った。



「……」


何で、秋人がそんな顔するんだろう。

別に私が勝手に勘違いしてたんだ。
しそうになったんだ。


あまりにもあの時間が幸せだったから。



「愛ちゃん、勘違いしてるよね?」

「何を?それよりも食べないの?」


私は笑みを張り付けたまま、更にハンバーガーを前へと出す。
だけど、秋人はそのハンバーガーになんて目もくれずに私だけを見ていた。



「俺、そのまんまの意味って言ったよ」

「……」

「愛ちゃんが大好きだって事だよ?それ、わかってる?」

「……わかってるよ」



わかってる。

秋人の大事な人が誰かって事ぐらい。



わかってるよ。
だから、再確認させないでよ。


胸が痛むだけだから。
キリキリと痛んで、苦しいだけだから。