「……はあ、もう」


秋人はそうぽつり、呟くとゆっくりと体を起こした。
私の体も一緒に持ち上げて、今度は座った状態で抱きすくめられる。



背中に回る腕。
そっと、秋人の手が私の髪の毛を梳いて行く。



「我慢出来なくなりそ。
だから、ご飯でも食べに行こうか?」

「……」

「お腹空いてない?
結構寝てたと思うんだけど」



そう言いながら、秋人は机の上にある携帯を手にして時間を確認する。



「ほら、もう4時過ぎ」


どうやら、本当に結構な時間寝てしまっていたらしい。
秋人の家に来たのは、午前中だった。



「何でもいいよ。好きなの食べに行こ」


ニッコリ微笑むと、秋人は立ち上がった。
それから私の手を取り、引っ張ると自分に引き寄せる。


どこか、拍子抜けしてしまった。

あんなキスの後、何もなくあっさりとご飯に行こうだなんて。