「……本間、雪村」


それは品川先生だった。


私達が入ろうとしたのは後ろの扉で、品川先生が出て来たのは前の扉だったけども。


相変わらず、しわくちゃの白衣と不精髭の品川先生はじっと私達を見る。


それから、一言。


「イチャイチャするなら放課後やれよ?」


だなんて、とんでもない見当違いの事を言った。


オイ、生徒にかける言葉じゃないだろうが。
しかも、放課後ならOKってどんな了見だ。



「違いますから!しながっ」


品川先生と続きたかったのに、それを阻止したのは本間だった。
私の口元には本間の手が覆い被さっている。


「はーい、そうしまーす」


だなんて、飄々と答える本間に殺意しか芽生えない。


どういう事だ。

何故否定しない。
お前と私の間には一切合切、一ミリもそんな事実ないだろうが。