「だからさ、清ちゃん。“内緒”にしてて」


結城や、瞬に好きな相手がバレてしまった時とは違う。
秋人自ら、“秘密”を誰かに話したんだ。



きっと、それを本間は分かっている。



「もちろんだろ?俺と秋人は友達だからな。
いや、親友だ、親友」

「へへっ」


そうやって、本当に嬉しそうに笑う秋人の顔を見て私も自然と顔に笑みが浮かんだ。


本間だけが麗さんの事を知らないけど、それはきっと秋人が伝えるだろう。
親友として。


本間なら受け入れてくれるよ。

怒られようとも、きっとね。


それから、三人で昇降口へと向かった。
大分前にチャイムが鳴った気がするから、もうHRだろう。

下手したら授業中かも。
沙紀さんの話に夢中で、実際チャイムが鳴った事を覚えていない。


上履きでなく、スリッパで歩く私。


なるべく音を立てずにそろーりと廊下を歩く。


秋人は先に中に入った。
怒られている声がする。当たり前か。


それから自分のクラスまで到達して、一度本間と顔を合わせる。
どちらともなく頷くとゆっくり扉を開けようとした。

と、同時にガラっと先に誰かが扉を開けた。