私は少しだけ安心して、何も無かったかのように学校に向かう。
もう遅刻は確定してるので歩みはゆっくりだったけど。
ーガラッ。
案の定遅刻になりせっかくの昼休みは、先生のお説教で終わってしまう。
職員室を出て、ようやく自分の人の良さに腹が立ってきた。
(あー!バカな事した!あんな誰かもわからない人の為に遅刻とか!)
自分の席で苛々しながら外を見てると、不意に一人の男子生徒に目が止まる。
それは、クラスでも騒がれてる3年の先輩であり、私の幼なじみである。
彼の名前は【青野 圭】成績優秀で運動神経もよくてルックスもまあまあ。
クラスの女子はもちろん、同世代や年上や後輩と幅広い世代から人気がある。
その為、幼なじみである私は苦労もしたりするんだけどね。
「あ、あの。神崎さん。」
「ん?」
「青野くんと、仲いいよね…。2人は、付き合ってる…の?」
そう。
私と圭が幼なじみなのは、あまり知られていない。
だから、圭に気がある子にやたら絡まれたり質問されたり敵視されたりする。
「私と圭は幼なじみなんだよ。だから、仲がいいだけ。別に恋人じゃないよ」
「幼なじみ、なんだ。そっか!」
女の子は嬉しそうに教室を出て行く。
(誤解するのは 、当たり前か。先輩と後輩が仲いいんだもんね。)
そう。
誤解される一番のポイントは、私と圭の年齢が1つ離れてる事。
親同士が仲よかっただけだから、なんでここまで仲いいか聞かれても答えられないんだよね。
「千冬ー。お説教お疲れー」
楽しそうに私の頭を撫でる女の子。
彼女は【倉田 美鈴】スタイル良くて顔も大人っぽいから、男子からは密かに人気がある私の親友。
「災難すぎだよー」
「イケメンに食いついたのは千冬なんだから、自業自得じゃない?」
「うっ…そうだけどさ…」
「そんなイケメンだったの?」
「んー、イケメンっていうか…」
今朝の彼の顔を思い出すと、なぜかモヤモヤして上手く思い出せなかった。
一瞬だったし、焦ってたから今思えば当たり前の事なんだろうけど。
