粉雪 ~ Konayuki ~



(どうしたんだろ?具合悪いのかな?)


座り込んで全く動かない″その人″に、私は恐る恐る近付く。
フードを被ってる″その人″の顔を覗き込むと、口から血を流した美青年の顔がそこにはあった。


(うわー。すごいイケメンだ。)


あまりに美青年すぎて見惚れてると、苦しそうな唸り声をあげて目を覚ます。
見惚れてた私と目が合い、気まずい雰囲気が流れる。


「あんた、何?痴女?」

「ち⁈」


いきなりの痴女発言に、思わず赤面して俯いてしまった。


「いって…」

「あっあの!どこか痛いんですか?」

「あ?あんたに関係ねぇだろ」

「でも!怪我してる人を、ほっとくわけにはいきませんよ!」

「…偽善者かよ」

「偽善者でもいいです!痛いのどこですか?」

「…」


私は彼が脇腹を抑えてるのを見て、慌てて彼の手を退ける。
すると、脇腹が見事なまでに青痣になっていた。


「痛そ…骨は、大丈夫。痣になってるだけか。なら救急車はいいから、湿布貼っておけば大丈夫!よし。待ってて?」


私は鞄を置いて家に戻る。
共働きをしてる両親は、もう仕事に出てて家は留守だった。
私は救急箱から湿布と包帯を持って彼の元へ駆け足で戻る。
けど、彼の姿は無くてお礼が書いてあるメモだけが残っていた。