遅咲きの恋は花屋にて。





「どの花も綺麗でしょ?」
「え?」


声のした方を見ると、1人の青年が優しい笑顔をこちらに向けて立っていた。
途端に、春香の胸がドキッと鳴った。

サラッとした黒髪が色白の肌に映えていて、足もスラリと長く背が高い。鼻筋も通っていて、一言で言うなら“イケメン”。

青年は春香よりは若いだろうが、大人の雰囲気が漂っていた。


「すみません、少し奥の方で作業していて。」
「あ、いえ、大丈夫ですっ。」
「どんな花をお探しですか?」


…女子力アップの効果のある花、とは言えないしどうしたものか。こんなかっこいい人の前で恥はかきたくない。春香が言葉を詰まらせていると、

「プレゼントですか?」

青年が春香の顔を覗き込む。春香との距離が一気に縮まる。

「あ、いえ!その…自分の部屋に飾りたいなーと思っていて…。どんな花がいいかはまだ決まっていません。」


視線を少し下に落としたまま、春香は言った。仕事中のように自信に満ち溢れている彼女はそこにはいなかった。