「大丈夫ですか⁈春香さん。」
ドキンッー。
心臓が裏返るんじゃないかと思うくらい、大きく波打つ。
名前も顔も覚えていてくれたんだ…。そう思うと嬉しくて涙が出そうになる。
「すみません、俺あの状況でどうやって助ければいいのか分からなくって、声かけるにもあんな満員じゃ捕まえられないし…。」
そう言って彼は春香の手を握ったまま、力なくその場に座り込んだ。
「とにかく次の駅で一緒に降りようって。すみません、かっこ悪い助け方で…。」
黒いサラサラとした髪を、片手でくしゃくしゃにしながら申し訳なさそうにしていた。
春香は翔太の前に同じようにしゃがみ込み、目線を合わせた。
「ありがとう、長谷川君。長谷川君は十分かっこ良かったよ。王子様みたいだった……。」
へ?と言いたげに、彼は目を丸くして春香を見つめた。
