春香の初恋が呆気なく敗れ、早一ヶ月が経とうとしていた。時間と、相変わらず忙しい仕事のおかげで春香はもう何とも思わなくなっていた。 時々、ベランダで咲いているサクラソウを見て思い出すだけで……。 でもそれも何だか懐かしむようなそんな感情だった。 そんな気がしていた。