遅咲きの恋は花屋にて。




慌てて、翔太の顔を頭から消した。


「ちょっと〜。何で拗ねてんのか知らないけどね、あんたがそんなしょぼくれてどうすんのよっ。失恋した私を励ますのが男でしょーが。」


春香は松田の頭をペシッと叩いた。松田は渋々体を起こした。そして、少しの間を開けて言った。

「なあ、川瀬。お前のこと今日慰めてやるからよ、俺の話も聞いてくれない?」

体をちゃんと春香の方に向け、真剣な眼差しで話す松田。春香は少し面食らったがすぐに「どうしたの?」と聞き返した。


「俺もさ、実は好きな人いんの。」
「えっ?!」

「誰?」と春香が続けるより早く、松田は話出した。


「そいつ超鈍感で、全然気づいてくれないの。もう1年以上前から好きなのにさ。」
「…へー。そんな子が好きだと、大変ね。」
「でさ、最近その好きな人が失恋したんだよね。」
「えっ?」


思わず、春香の動きが止まった。
相変わらず騒がしい居酒屋の中で、二人のいる空間だけが静けさを通る。