ーー女の人だった。
「あら、すみません。どこかお体にぶつけてしまいましたか?」
「あ、いえ……。こちらこそ、ボーッとしてしまっていて。」
春香は慌てて頭を下げた。その女性もペコっと頭を下げると
「ぜひ中に入ってくださいね。」
と素敵な笑顔で、庭園の方に去って行った。
昨日はあんな人いなかった。私よりは上に見えたが、綺麗で上品な女性。もしかして、夫婦でこの花屋を経営しているのだろうか。
「…終わった。」
実際、花なんて最初は女子力アップのために買おうとしたのだ。もうこの花屋に来ることはないだろう。あの彼のことも、深入りする前に真実を知れてむしろ喜ぶべきだ。
「…帰ろう。ヒデ呼んで飲もう。」
春香がドアに背を向けたその時。
