「は?なんで?!」
「彼のことをもっと知るためですよ〜。まだ名前すら知らないんですよね?」
「でも、花買ったしもう行く用がないのよ?」
「この花の育て方、教えてくださーい♥︎って可愛く言えば大丈夫ですよ!」
「か、可愛く…。」
口実としては全然不自然じゃないから怪しまれないだろうが、まず自分がそんな積極的になれるのか。そして自分に可愛いくアピールするっていうのは、不自然ではないか。
色んな不安が一気に、春香の心を押しつぶす。
「先輩!あれこれ考えるならまずは動け。これ、誰の言葉でしたっけ?」
「……でも。」
「私、入社したての頃、何も分からなくてオドオドしてばっかで。でもそんな時先輩がこの言葉をかけてくれて。その時のことずっと覚えているんです。」
伊藤は少し照れ臭そうに笑い、首をかしげて言った。珍しい彼女の一面を見て、また、彼女の言葉に春香の心は動いた。
「わかった。この企画、絶対成功させるわよ!!」
「わーい、いつもの先輩だ〜。」
伊藤はすぐにいつもの、フニャっとした笑顔に戻った。
そしてまたいつものように煽てられ、ランチ代を奢らされたのだった。
