さくらside




「さっくら~!」

「きゃあああっ」




突然私に飛びついて来たのは、幼なじみの小沢雛子。

折れてしまいそうな細い腕で私を抱きしめる。

嗚呼…そんなか弱い腕で私なんかをっ…!!




「あー…さくら抱き心地良いわぁー」

「……それって私に喧嘩を売ってるのかな?」





ん?とその顔を見る雛子は本当にかわいい。

華奢でモデルさんみたいな身長で、裏表の無い性格。その上、美人だからクラスでは人気者。

それに比べて私は……。




「さくら、放課後クレープ食べに行こ!」

「えっ行く行く!!……あ」




出た、私の悪いところ。




「どうしたの?」

「いやぁ……やっぱ止めとく…」

「えー!!!何で?!」

「だ、だって………」




これ以上、体重を増やしたくないんだもん!!

プニプニの二の腕にムチムチの太もも…




「これ以上、デブりたくない……」


私、野崎さくらは小さい頃から“ぽっちゃり体型”に悩まされているのです。

悩み続けて高校生。
色々試してみたものの、未だ改善のよち無らず。


ぽっちゃりな上、地味だし可愛くない。
責めて顔位、可愛くなりたかった……。

ガクッと肩を落とす。



「気にし過ぎ!!可愛いんだから自信持なさいよ!!」






私の前にたって、肩を、グラグラと揺らす雛子。
そんなの……




「嘘だー」

「本当にだっつの!!!」




鏡見なさいって言う雛子。
こんな自分、見たくないし変わらないよ。


…あれ。

これ、いつものパターンに走ってる。




「~もうっいいや!!雛子、放課後行く!!」

「うん、それでこそさくらだ」





クレープ食べて忘れよう!

ヤケクソになって食べに行ってしまう、現実逃避する私の悪いところ、これ。

雛子と食べ物に慰めてもらって。
で結果、家帰って体重計ったら自爆するパターン……


もう、どうにでもなってしまえ!!

なーんて、思ってしまう私は、一生ぽっちゃりのままだ。

…こんなつもりじゃなかったんだけどな。


心の中で小さく溜め息をした。