好きだから……


ガラガラ


ドアを開けて数学の飯坂が入ってきた。


「はい静かに! 早く教科書の52ページを
開いて! 」


一時間目から数学とか……


私は授業の中でも数学が一番嫌いだ。


つまんない………


私は静かに今、吹奏楽でひいている
コンクールの楽譜を出して手を動かした。


♪~~♪~~~♪~

「ここでソロ!!!」


私は大声を出した上に思い切り立ち上がってしまった。


みんなの視線が一気に私に向く。


「笹平?なにがソロなんだ?」


「え?あ……えーっと…」


「それにこれはどんな計算をして解くんだ?俺はこんなの教えたつもりはないが…
さぞかし難しいんだろーな?」


「はい! 難しいです!
このコンクール曲はスケールが難しくて……」


「笹平?放課後職員室にくるように!! 」


「はっはい!!」


「じゃあ今日はここまで!課題ちゃんと
やってくるように! 以上!!!」


ガラガラ


「はぁ~~~やっちゃった……」


「柚帆、お前バカだろ!ハハッ………
お前が叫んだとき吹きそうだったぜ……」


「大河うっさい!」


私は大河の脛を思いっきり蹴った。


「いった!!!地味に完璧痛いんだけど……柚帆…お前な……」


「柚帆ちゃん……大丈夫?
部活これるの?合奏やるのに……」


「佑奈!!!ごめんね~~」


佑奈に思いっきり抱きつくと、


「おいっ! 柚帆…四条が大変だろ?
お前重いんだから……」


「大河には絶対言われたくない! 」


「大丈夫だよ ! 柚帆ちゃん♪
柚帆ちゃんは全然重くないよ?」


「四条さん?いいんだよ?
柚帆のこと思って嘘いわなくて♪ほんとのことなんだから♪」


「私、嘘なんかいってるつもりないよ?
それに相澤くん、女の子にそういうこと
いっちゃダメだよ?」


「佑奈!!優しすぎ~~」


「ほらほら、柚帆ちゃん?
次、移動教室だよ?行こっ♪」


「うん!あ……大河も一緒に行こっ! 」


「え?あ…あぁ……おうっ! ! 」