好きだから……



柚帆side

次の授業は『音楽』で移動教室だけあって
大変だ。


今日は合唱の練習をするらしくて、
先々週くらいにまこちゃんに合唱曲の伴奏
を頼まれた。


私はピアノがだいすきで三歳からピアノを
やっていて県のコンクールでも優勝したくらいだ。


これが私の密かな特技。


まだ誰にも私のピアノを聞かせたことは
もちろんないし、県のコンクールで優勝
したことも家族以外誰も知らない。


まこちゃんがこの曲は難しいとは言ってたけど、1日でひけてしまった……
そんな難しいかな??


みんなが席に着席したころ

ガラガラ とまこちゃんが入ってきた。


「全員席ついたか?
今日はこの間聞いた合唱曲を合唱するぞ?
じゃあ、笹平!伴奏頼むな?」


「あ、はい!」


まこちゃんのしきに合わせて音を出す。


この曲は初めから終わりまで指使いが
難しく、簡単なところなんてない。


確かにひいてて指がかなり疲れる。


「はい!じゃあ今日はここまで、
次はパート別の練習にはいるぞ?」


まこちゃんの話が終わると、みんなは
ぞろぞろと音楽室をでる。