千景くんは後頭部をかきながら、私から視線をはずした。
えっと、なんでこんな話になったかは…、
「あ。あのリュック見て家出するのかなって」
「は?すっげー想像力」
「リュックの中身なんですか!」
「あれは大志にあげる服」
「へぇ、服かぁ…仲良いね!」
「ふつう」
前園くんが憤慨してるのを想像したら、思わず笑いだしちゃって。
「なに、ご機嫌じゃん」と、千景くんもふっと笑ってくれた。
こんなふうに同じ空間で笑いあうの、久々だな。
千景くんの声や表情に、寂しさが消えていくこの感覚。
まだ少し切ないけど、今は同居人として千景くんのいちばん近くに。



