「深山さんの甘い誘惑にふらっといかないでよ。よそ見しないで!私がよそ見したら怒るくせに」
「俺がいつ怒った?」
「前園くんが言ってた!他の人と話したり触られそうになると牽制してるって」
静かに大きく息をつく千景くんはなにも言わなくなった。
俯いたその表情が前髪で隠される。
触れたい。
一瞬ためらって、ゆっくりその頬に指先から触れた。
「本当はあのとき、俺の彼女だ、とか。俺のものだ、とか…言って欲しかったよ私」
千景くん。
こっち見て。
だめなのかな。
やっぱり……私のことも、本気にならない?
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