「おい、大丈夫? 百瀬さんふらついたみたいだけど」
「ありがとうございます、大丈夫です…」
頭が痛いって、こめかみを押さえた途端に体がふらっとする。
とっさに両肩を大知先輩が支えてくれて、
「百瀬さん?」
私の目線に合わせてくれるように背を屈める先輩の顔が近くにあった。
「わっ……!」
近いな、って思ってたらグイっと後ろに腕を引っ張られてまた体が揺れる。
ーー千景くん!
「…百瀬さんのこと、自分の都合のいいように隣に置いておくのはどうなんだよ?」
「愛生は俺の、」
私と目が合うと、その綺麗な瞳が揺れ動く。
待っているけど、言葉の続きを紡ぐことはできず、眉間にしわを寄せて難しい表情をする千景くん。
チクリと。
ぎゅっとなにかにいきなり掴まれたように胸の奥が痛い。
千景くん、さらっと言えるところでしょ今。
なのに。
……どうして、俺の彼女だって言ってくれないの?



