私達がこれから朝食を取ろうと階段を降りている時、玄関のチャイムが鳴る。

インターフォン越しに対応しているトオル君のお母さんが、次第に困惑した顔になってくる。

静かに耳を傾けていたトオル君は、お母さんの肩に手を掛け、「僕が対応するよ」と言って、彼女に変わると低く冷静な声で話し始めた。

「今回の件について正式なプレス発表の日程と場所は追って担当者の方から連絡します。

お引き取り下さい。

今は何も話すことはありません」

彼が何を言っているのか、私は全く理解できなかった。

プレス発表って?

連絡って??

私は、さっきまでのトオル君とはまるで別人を見るような気がしていた。